QLITRE DIALY

そのスナックにカルアミルクは置いていなかった

2023年11月19日

今週末は大阪方面に出張をしていた。

自分は社内システム導入系の仕事をしていて、関西拠点の使用状況の調査とフォローアップを兼ねて訪問したのだった。

仕事はそこそこに。終わった後は関西拠点の人たちと飲みに行く。出張は頻繁にはいかない。そのため、普段は飲まない人たちとの夜の交流で親睦を深めるのが出張の目的の一つでもある。

一軒目は西九条駅前の大衆酒場へ。せっかく関西まで来たのだから、ということで、いつもより飲みすぎてしまう。

拠点側の社員も歓待の意を示してくれたのだろうか、いちばん偉い人が飲み会の途中からずっと酩酊して眠っていた。酩酊していても許される緩い雰囲気が心地いいと思う。

一軒目が終わって、二軒目のスナックにも同行することにした。既にふらふらだったけど、折角誘ってくれているのだし、ということで。

酩酊していたため、どこのお店にたどり着いたのかは覚えていない。どこかの駅の大通り沿いで、ママが一人でやっているスナックだった。カウンターと、テーブル席が2~3ある、こじんまりとしたお店。アジアを思わせるお香が焚いてあって鼻孔をくすぶる。リラックスする気がした。連れて行ってくれた人の行きつけの店のようだった。

適当にナッツやポテチをつまみながら、めいめいが酒を頼む。自分はこれ以上飲めないと思ったので、コカ・コーラにさせてもらった。スナックといえばカラオケで、マイクが回ってくる。こういう時に何を歌えばいいのか、いつも迷うのだけど、スローテンポのしっとりした曲を歌うようにしている。スナックではそういう歌が雰囲気に合う。

まずは南こうせつとかぐや姫の「神田川」。

この曲は最後に「ただあなたの優しさが怖かった♪」といったように終わる。

終わった後に実際に同席している人の名前を入れて「ただ○○さんの優しさが怖かった♪」というように締めると、けっこう受ける。ちょっと怖くて話しかけづらいよな、この人、というくらいの距離感の人の名前を入れるのがポイントだ。社内での飲み会や、取引先との接待で歌う機会があったらぜひ使ってみてほしい。もちろん、責任はなにも取れないが。

その後も何週かして、大阪っぽいナンバーで萩原健一の「ぐでんぐでん」などを歌って、最後は岡村靖幸の「カルアミルク」を歌った。

これもスナックで歌うと雰囲気が出る曲である。

昔カルアミルクを一緒に飲んでた女との思い出を切ないメロディで綴った往年の名曲。

誕生日にくれたねカルアミルク

この前 飲んだら なんだか泣けてきちゃったんだよ oh oh

このあたりが歌っていてエモさが究極に高まる場面。実際に歌いながら結構涙目だった。

気持ちよく歌いあげることができた。大阪に来て岡村靖幸の「カルアミルク」を歌えて本当によかったと思った。

まだ酩酊状態だったものの、無性にカルアミルクが飲みたくなってしまった。

「ママ、カルアミルク一つ!」。たまらず注文をする。すかさず、「ないわ、ボケェ!」と返されてしまった。

カルアミルクが置いてないなんて、そんなことはないだろう、これが大阪流のギャグかな?というようなことを思う。

しかし、帰り際に聞いたら実際に置いてなかったらしい、最近は飲む人が少なく、仕入れてないとのことだった。

今度飲みに来るよ、なんて、いつ来れるかもわからないのに言ってしまう。

恐らくママもそのことが分かっていたのだと思うのだけど、「置いておくからよろしくね」。

その優しさが心地いいと思った。