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ライブ感想 柴田聡子 x kanekoayano ありがとう Vol.2

2025年05月05日

今日は昨日に参加した柴田聡子 x kanekoayano ありがとう Vol.2@六本木EXシアターについて感想を書く。

ライブ前 マクドナルドに寄った

いつもはライブ前は主に日高屋に寄って軽くアルコールを入れることが多いが、今回のライブはクリアな頭で楽しみたい気持ちが強かったので、会場至近のマクドナルドで腹を満たしてからのぞむことにした。

チキンタツタとフライドポテト。

チキンタツタはマックの中でも気に入っているメニュー。ハンバーガー系と異なるしっとりしたバンズを利用していて、チキンとキャベツ、それに比較的味が控えめなソースのみというシンプルな構造が潔い。510円。

そういえば、自分はかつて高校生の時にマクドナルドで働いていた。主にバックヤードでハンバーガーを作る仕事をしていた。マックの狭いスペースの中にはシステマチックな粋が詰め込められており、完全分業でハンバーガーをサーブできるようになっている。回転数にもよるがフルで人員を配置するとこういう体制になる。

  • パンを焼いてオーダーに併せてラップを用意する人(イニシエイター)
  • ソース、トッピングをセットする人 x 2
  • 肉を挟みラッピングをする人(フィニッシャー)
  • 揚げ物の在庫を補充する人(フライヤー)
  • ミートを焼く人
  • カウンターで接客をする人(しばしばポテトを揚げる作業を兼ねる)

昼のピークの時間帯は鬼のようなオーダー量になる。誰かがミスをすると全体の流れが滞るため、非常に緊張感のある仕事を経験させてもらっていた。

ちなみに俺は一番最初にパンを焼いてラップを用意するイニシエイターというポジションを担当することが多かった。簡単にみえるこの仕事、意外と頭を使う。というのも、単純にオーダー順に捌くだけでは作業効率が著しく悪くなるからだ。

ハンバーガー(A)とてりやきバーガー(B)のみを提供していると仮定する。

製造ラインは以下のようになっている。

イニシエイター => ケチャップ(A) =>マスタード(A)=>ピクルス(A)=>オニオン(A) => てりやきソース(B) => マヨネーズ(B)=>レタス(B)=>肉類(A,B) => カウンター

手前にハンバーガーの具材があり、奥側にてりやきバーガーの具材がある。

構造上、各ラインでは一個しかハンバーガーを作れない。そのためてりやきバーガーとハンバーガーが同時のタイミングで注文が入った場合は?てりやきバーガーのバンズを先に焼いて、ラインに流すのが正解である。そうすれば奥でてりやきバーガーを、手前でハンバーガーを作ることができる。これが逆だとハンバーガーを作っている間、てりやきバーガーはラインが流れるのを待つしかない。製造ラインのメンバーがいま何をやっているかを把握しながら、時には注文順を逆転させながらバンズとラップを用意する。ちょっとしたパズルを解いているようで非常にスリリングなポジションだ。

かなり脱線してしまったが、マックを食べると昔のことを思い出していつもあのときの熱い気持ちがよみがえる。ライブ前に寄ったのは完全に正解だった。

※2006年頃の情報をもとに書いています。現在は様子が異なるかもしれません。

kanekoayano

会場に入り、一発目はkanekoayano。自分もこれまであまり意識していなかったのだが、昨年の8月にサポートメンバーが正式に加入をして、kanekoayanoというバンド名義で活動をすることになった。なので、kanekoayanoと書いた時はバンドのことを指しており、カネコアヤノの時のは個人を指していることになる。これはややこしい事態になる可能性を孕んでいる。例えば「ラルクのHydeが〜」みたいな感じでバンド→個人で話題にする時に必然的にこうなってしまう。

「kanekoayanoのカネコアヤノが〜」

かなり変な感じがするが、実際にあてはめるとこうなってしまうんである。

こうやって文章にする分にはまだいい。明確に半角小文字アルファベットとカタカナという視覚的な違いがあるからだ。

これが口語だと音としては全く一緒なのが厄介だ。聞いている人は全く区別がつかない。そのため、実際に喋るときはこういう感じにしないと意味が伝わらない。

「バンドのkanekoayanoのヴォーカルのカネコアヤノのことなんだけどさ・・・」

「えーと半角アルファベット小文字表記のkanekoayanoのカタカナ表記のカネコアヤノについて・・・」

かなり冗長である。しかし実際にこのようにしゃべらないと「いまきみが言ったカネコアヤノってさ、バンドと個人どっちの話?」みたいな煽りを受ける可能性もある。誰かに語る時に気をつけないといけない。

というわけで気をつけながら、ライブ感想を書いていく(テキストなので少し楽だ)。バンドセットとしてのライブは何回か見ていたが、kanekoayanoとしてのライブは今回が初めてだった。もともとカネコアヤノはシンプルなグッドメロディをありったけのパワーを込めた歌声でのせて全員ぶっ飛ばすタイプのシンガーソングライターだという認識。そのため、なんていうかこれまでは弾き語りでもバンドセットでもそのパワーを込めた歌にばかり意識が向いてしまい演奏にはあまり注目をしたことがなかった。

それで、今回のライブである。先日にリリースされた、石の糸を聞いてなんとなく覚悟はしていたが、かなりそのスタイルを変えてきていて、パワーのある歌声は控えめになっていた。代わりに演奏が全面に出てきたというかリッチというか、重厚になったな、という印象を受けた。オルタナっぽい曲もあり、あと、カネコアヤノが硬質なカッティングリフを弾いている姿を見た時は素直に驚いた。

感想としては良いとか悪いとかよりも、まず驚いた。というよりもカネコアヤノに対してkanekoayanoは明らかに異質なので、それこそ初見のバンドを見たという感覚が近い。そのため、まだ消化しきれていないというか、良し悪しを判断できる状態ではない。

(kanekoayanoとカネコアヤノ表記問題、本当にややこしい・・・)

柴田聡子

続いて柴田聡子。やはり曲作りのセンスに抜けているものがあるな、と感じたライブだった。デビューから(My Favorite Thingsを除く)7枚のフルアルバムをコンスタントに発表しており、どのアルバムも良曲が多い。そのため、セトリは毎回違うのに「今回も良曲揃いのセトリだった」と思わざるを得ない。長いキャリアになればなるほど、ライブでやる鉄板の曲とか全体の流れが固定化されてしまう傾向はある。しかし、柴田聡子のライブに関しては毎回驚かされて毎回良い。しかし、Xでも投稿したがSynergy白い椅子雑感後悔side stepの5曲の流れが過去最高にすごすぎた。。

あとは、最後にやったワンコロメーターがサイケっぽい印象。(ゆらゆら帝国の3x3x3ぽいと思った)

なんとなく柴田聡子さんは観客を楽しませることをかなり真剣に考えるフェーズに来ているのでは、というようなことを思った。セトリの組み立てから、ライブの演出まで、完全にプロのそれ。エンターテイナーとしてのプロ意識をものすごく感じた。

柴田聡子 x カネコアヤノ

最後は二人で登場して松任谷由美の守ってあげたいをデュエットで大団円。

二人のMCが面白かった。まとめておく。

  • たまたま空港で会って話をした結果今回のライブにつながった
  • 昔は二人で厨房に入っていたこともあった
  • 初代カラオケ大会イベントで優勝したことがあった
  • 二回目のカラオケ大会はデス声で歌う人が優勝した

kanekoayano演奏時のカネコアヤノについては鬼気迫る感じで怖いという印象すらあったが、最後に登場した時に朗らかに喋っていたのが印象に残った。どちらかというとこちらが素の姿で、ライブ中の雰囲気もプロならではの演出なのでは、という気もする。

おわりに

古参アピールをするわけではないが、柴田聡子とカネコアヤノに関してはデビュー時の下積み時代から動向を追っていたアーティスト。キャパ数十人程度の箱、居酒屋弾き語りライブなどなどに足を運んできた。

MCで話していた内容のイベントも(多分)経験している。

今回はそんな二人が六本木EXシアターという大舞台で共演するということで、あの時支えたファン達がいたからここまで来れたという事実は確かにあるんだよな、そして自分もその一人だった。かなりエモい気持ちになった。ではでは。