QLITRE DIALY

「君たちはどう生きるか」を観てきた

2023年07月17日

話題の「君たちはどう生きるか」を観てきた。

タイトルについて

まずタイトルにインパクトがあると思った。

改めて書いてみよう。

「君たちはどう生きるか」だ。

なかなか挑発的ではっとさせられる。

そういわれてみると、「どう生きるか」なんてことは考えたことがなかった。

朝起きたら会社に行く。仕事して帰ってきたら飯食って寝る。そんなライフスタイル。別に嫌だとも好きだとも思ったことはない。

それもそのはずだ。なぜなら上で書いたように俺は「どう生きるか」ということを全く考えておらず、どう生きるかを考えていないのに、自分の生活がどうだと評価ができるわけがない。

思うにある程度インフラや娯楽が発達して、「どう生きるか」を考えなくても何となくそれなりに満足できてしまうのが現代と言えるのかもしれない。

そこへきて「君たちはどう生きるか」だ。このようなタイトルを目にしてしまうと、否が応でも、「どう生きてるんだ、俺は?何がしたいんだ?俺は?」ということを考えざるを得ない。嫌な気持ちになってくる。そんなことは考えたくもないからだ。なにが「君たちはどう生きるか」だ、俺は普通に生きていたいだけなんだぴょーん、そんなことを考えていた。

恐らくこのざわついた、言葉にできない不穏な気持ちは多くの人が感じていたんじゃないかと思う。

Twitterで「君たちはどう生きるか」で検索をすると、どうもネタ合戦じみた投稿が散見される。別にネタを投稿することを否定しているわけではない。

ただ、このタイトルが挑発的なゆえに、「ネタを投稿して気を紛らわせずにはいられない」という感情から、多くのネタが量産されている、という相関はあるのではないかと思う。

このもやっとした気持ちを解消するために映画を観なければいけないと思った。

映画を観た感想

これはすんごい映画だと思いました。マジでヤベーとしか言いようがない。

まず、自分にはストーリーが全く理解できませんでした。そのため、ネタバレをしてくれと頼まれてもできそうにないので、恐れずに色々と書いてみます。念のため、真っ新な状態で映画に臨みたい人は読まない方がいいと思います。

あらすじとしてはなんか戦争中っぽい感じの場面から始まって母親が戦争ですぐ死にます。主人公は少年です。多分小学校高学年か中学生くらいでしょう。その後なんか田舎っぽいところに父親と一緒に来ます。なんか父親と恋仲っぽい母親の妹と一緒に暮らし始めます。このあたりで、すぐに考えました。これはあれか、母親が亡くなった後にすぐ別の女と父親がくっついて、「俺はどう生きるのか」という心の葛藤を抱えながら、少年の心が成長していって徐々に家族と和解していく物語なんだな、はっはっーよくある話だぜー!なーにが「君たちはどう生きるか」だっ!なんて考えてた。

でも全然そんな話じゃありませんでした。そもそも少年はあまりしゃべらんので、何を考えてるのか全く分かりませんでした。俺がお前に「君はどう生きるんだ」と聞きたい。問いただしたい。そんなことを考えずにはいられない主人公です。そんなこんなで設定上は割とシリアス目な展開の中で急に湯婆婆みたいにデフォルメされたババアが5-6人出てきてなんだこいつらは?となります。この辺りでなんかすごいぞ、この映画は、と思いました。気づいたら少年は異世界に迷い込んでいました。海賊みたいな気丈でイイ女と一緒に生活したり、鳥の化け物に襲われたり、その最中にヒロインっぽい少女が放つ炎で助けられたりしていました。なんだこの映画はヤベー!って思いながら没頭していたら映画は終わってました。

一言でいうと「奔流」。映像、イメージの奔流。

上で書いたようにストーリーはほぼ理解できなかった。だけど、たぶんストーリーを理解して楽しむタイプの映画じゃなくて、イメージをひたすら渡して、そこで何を考えるか、観賞している人に委ねているんじゃないかな、ということを思う。

例えば資源・環境問題について言及しているように思えるし、生命の尊さを暗喩している場面も見受けられた。調べたら宮崎駿さんは1941年生まれなので、80歳以上か、そういえば、次の世代に何を託すか、みたいな話もあったように思う。ジュブナイルでもあり、ファンタジーでもあり、SFでもある。凄い映画だった。

じゃあ結局何が言いたかったの?と聞かれると、具体的な言語化ができないのが歯がゆい。

が、イメージを受け取っただけで、よかったと確実に思える。別に言葉にできなくてもいい、何かの反応が自分に起こった、そう思えるのは良い映画に違いない。

「どう生きるか」

この問いをされてもやっとしたことを上に書いたが、映画を観ても結局自分がどう生きるのかが分からないままでいる。

たぶん、それを考え続けるべきなんだろうな、映画を観て、その思いが強まった気がする。ではでは。