QLITRE DIALY

かっこよく忘れ物を回収する方法について

2024年07月17日

飲んだあとにお店に傘を忘れてしまうことが続いている。

この1週間のあいだで2回ほどそんなことがあった。梅雨の時期なので、傘を持ってお店に入ることが多い。折りたたみ傘を使っているので、傘立て、みたいなスペースに置くことがしづらい。折りたたんでカバーをかけているけれど、雨で濡れていることが感じられる。カバンの中にしまうのはちょっとなぁ…という感じがするので、それとなく座っている椅子の付近に置いたりしている。飲んで酔っぱらっていると、傘の存在はすっかり頭の中からきえていて、それでいて外は帰るころには晴れていたりするので、傘のことは思い出さずに家路について、途中の電車で多少の酔いが覚めたころに「あ、忘れちゃった」みたいな感じでその存在を思い出す。昨日飲んだ店でまさにやってしまった。

こういう時はなるべく早く、可能なら次の日には回収に行くようにしている。自分の心の中にある忘れてしまったという、罪悪感に似たものを早く回収することで払拭したいという気持ちもあるし、店側も保管をすることに対するコストがかかっている。なるべく早く済ませるのが正しい。

そんなわけで昨日飲んでいた店に今日も訪れたのだった。

そういえば、店に忘れたものをどうやって回収するか、という問題はあるかもな、ということを考えていた。

こういうときに回収だけ済ませることはありがちだと思う。

たぶんこういう感じの会話になるんじゃないだろうか。

あ、どもどもすみません、昨日はちょっと酔っ払い過ぎちゃって、傘を忘れちゃったみたいで、黒い折りたたみ傘なんですけど、あ、ありましたか、ありがとうございます、迷惑かけてすみません、ホント昨日はおいしかったです、いやー飲みすぎちゃったな、じゃ、ここで帰るんで、また宜しくお願いします。

よくある流れだと思う。忘れたものを回収だけする。

ただ、こうして文字に起こしてみると、なんなんだこいつは、という感じがしないでもない。

居酒屋に顔を出すだけ出して、何もせずに忘れ物を回収だけして帰る。そこに何となくスマートではない何かを感じてしまう。

そもそも忘れ物をするというのが何となくダサい印象がある。店員さんに「忘れ物をして翌日に回収だけしに来たダサいヤツ」みたいなレッテルを貼られる可能性もある。他人にどう思われようがいいかもしれないが、できるならそういうレッテルは貼られたくないと思う。

そんなことを忘れ物をした時によく考えている。それで自分は忘れ物を回収するときにはその店で軽く飲み食いをするようにしている。

あぁ、はい一人です、とりあえずビール大瓶で一つ、あっ、そういえばちょっと聞きたいんですけど、昨日もこの店で飲んでて、傘を忘れちゃったと思うんですけど、あ、ありましたか、ありがとうございます、迷惑かけてすみません、えーと、揚げ茄子とベーコンエッグもお願いします。

文字起こしすると、ただ単に忘れ物の回収に来たヤツとは対照的だ。ここでは明らかに飲みに来たついでに忘れ物を回収している、という雰囲気がある。俺にとってはこの店で飲むことが重要で、忘れ物の回収は二の次さぁ~んという大らかさを醸し出せる、これだけで忘れ物をしてしまった、というダサさは感じない、むしろ忘れ物をしたというマイナスの要素が反転してカッコよさすら感じられる。

これがスマートな忘れ物の回収の仕方だとつねづね考えている。ではでは。