QLITRE DIALY

ライブハウスで横転して酒を被った話

2025年07月13日

もともとその日は仕事が終わったあとにそのまま家に帰ろうと思ってたのだけど、ちょうど大雨が降り始めて、雨宿りにいいかもな、なんて思って新宿で酒を飲んでいた。大体は軽く飲んだら帰路につくのだけど、その日は運の悪いことに強すぎる雨が災いし通勤に使っている路線が動かなくなってしまった。

地下の架線が水没したとか、そんな状況になっていて、復旧に時間がかかりそうだった。

どうしたものかと考えていると、TLに自分の好きなバンドのライブ告知が流れてきて、どうせ電車は動いていないし、お酒もだいぶ飲んだのでこれ以上ここでだらだらするのもな、という思考が働き、ライブを見て時間をつぶすことにしたのだった。

ライブ後、横転して酒をかぶった

ダッシュしてぎりぎり開演に間に合ってライブを見ることができた。終わったのが20:30頃くらい。やっぱりライブは最高だ、日常の嫌なことが忘れられる。まだイベントは続くようで、もう少しぶらぶらすることにした。

さて、ここからが本題(?)。

お目当てのライブが終わったあとにフロアに移動すると、ノイズ系のDJの方が演奏しているようだった。

バーカウンターで生ビールを頼む。そのままバーカウンターの近くで聴いてた。

それでスマホ見てたときだったと思う。なんか強い衝撃があって、気付いたら床にずっこけてた。

目視していないから何が起きたのか謎だった。幸いに痛いところはどこもなかった。怪我はしていなかったようだ。たぶん盛り上がった客が突っ込んできたのだろうか…。近くに女性が倒れていたが、別の方が介抱をしているようだった。あとで周りの人に確認したら無事だったと聞いて安心をした。

自分はというと頭から思いっきり酒を被っていた。何もわからない状態だったが、幸いにこの酒が何かはわかる、もちろん直前に頼んだ生ビールに違いなかった。こういうふうに物事の前後関係がわかるので頭も無事なんだろう。

しかし頭から酒を被ったことは初めてだったが、意外にべとべとしないことに驚いていた。これがモスコミュールとかラムコークだったら状況は違っていただろう。こんなにべとべとしないとは、野球の優勝祝賀会かなんかでビールぶっかけ合うのはそういうことだったのか、みたいなことを考えたりしていた。そのとき酒をかぶった自分にハンカチを貸してくれたお姉さんがいて感謝です。

バーカウンターのお兄さんに空になったプラコップを渡す。「流石にこんなことになったんだから…」と頼んだら快く注いでくれた。この心遣いもありがたいと思った。

ノイズが流れるフロアでおかわりの生ビールを飲みながら色々なことを考えていた。

俺はこの出来事をどう処理すればいいのだろう。

自分は音楽が好きでたまらない、というよりは日常の発散でライブに行くことが多く、その中でこのような横転事故に遭遇してしまった。

たとえば音楽が好きでたまらないタイプだったらこう考えるだろう。

「ま、横転して酒を被ったんですけどね、大好きな音楽のライブが聴けたので最高でした、総合的に考えるといい1日でしたわ、わっはっは!」

俺はというとここまで開き直れない。やはり気持ちは酒を被ったことに引きづられる。これなら仕事をしていた方がマシだったな、と思った。

ぶつかってきた人に対してどうこういうわけではない。この出来事がきっかけで自分が好きだと思っていたものがこんなにも簡単にひっくり返ってしまうのかと驚いていた。別にライブに行かなくてもいいのでは、という余計な考えが生まれている。ちょうど胃もたれのように頭の中を支配していて、なかなか出ていってくれない。

最後のバンドが演奏をしていたがとても楽しめる気分ではなかった。演奏途中だったが帰ることにした。それまで土砂降りだった雨が止んでいたのだけが幸いだった。