QLITRE DIALY

バリウム検査、それは苦しい

2024年05月25日

今年から35歳になったため、生活習慣病検診を受診するように人事担当者からメールが届いていた。

これまでは簡易健康診断。会社付近に健康診断を実施のためにお医者さんやら看護師さんやらが訪問してくれていた。35歳になるともう少し詳しい検査をする必要があるらしい。それを生活習慣病検診と言うらしいことを初めて知る。生活習慣病検診の場合は自分で受診機関に予約を行う必要がある。バリウムや内視鏡検査だったりオプションを選べるらしい。仲の良い先輩に話を聞いて、今回はバリウム検査を受けることにした。

噂には聞いていたバリウム検査、これが終わってみると、なかなかショッキングな体験だったので記録をしておきたい。

バリウムについて知っていたこと

ほぼ何も知らなかった。上にも書いた通り、噂できつい検査である、胃を調べる検査である、ということを聞いたことがある、それくらいのレベルだった。幸運にも先日に妻もバリウム検査を受けていたのだった。どうだった?ということを聞いてみたが、「泡が出る薬と溶剤を飲まされて機械がぐるぐる回る、泡が出る薬を飲み干すのはけっこうきつい。自分で回ることもある」というような情報しか得られなかった。なんだそれ、そんなことをして何になるんだ?と思った。とりあえず頭には入れておいて、それ以上は調べなかった。

検査当日

健康診断なので身長体重を測ったり、きつめのやつだと採血したりと色々と検査を受ける。んで、最後の方にバリウム検査専用の部屋に通される。薄暗い部屋に見慣れないマシン、これが妻が言ってたぐるぐる回る機械のことかな。白衣を着た中年の医者。どろどろの白い液体。明らかに異質な空間という雰囲気がある。

「あの…バリウム検査は初めてなんですけど…?」

空間に圧倒されて恐る恐るそんなことを尋ねた。

「はっはー、誰でも最初は『初めて』なんですよ、なに、ネットでは結構きついみたいな風評があるかもしれませんが、そんなに不安に考えなくても大丈夫ですよ、さいきんはテクノロジーの進化で大分楽になったもんです、では初めてということなんで手順を詳しく…」みたいな感じの返答を期待していた。医者は俺の質問をスルーして。「では、そこの機械の上に立って、よーし、そこの位置でいい、次にこれとこれ、泡が出る薬と水。」と進行をしていく。

恐らく俺みたいなやつは何人もいたのだろう、初めてだろうが不安に思ってようが、あなたがこれからバリウム検査を受けるということは決まっている、それに答えて何になる、俺はこれから何人も検査する必要があるンだ、というような空気を感じた。

それでも、左手に泡の出る薬、右手に水をもって医師の方を見る、何かかけてもらいたい言葉があるんだというような、すがりつくような目で。しかし何もコミュニケーションはなかった、あるのは指示だけだった。

「一気に…錠剤を飲んで…よし!そうだ、次に水を流し込んで…!ようし、グッド!げっぷがしたいと思うけど、我慢だ!そしてこれがバリウムだ、ゆっくりで、一気じゃなくて良い、全部飲み干して…!」というように促される。

ずっしりとした白い液体、初めて飲むバリウムはあまりまずいとは思わなかったが、その重さを胃で感じてしまうのが、少し気持ち悪いと思った。バリウムを飲みだした頃から少しそんな感じがしていたが、医者はますますハイテンションになって指示をする。

「ようし、それでは私は別室で機械を操作するから指示に従うように…オーケー、隣の棒を掴んで、機械を動かすぞ…、よし、バリウムを胃に浸透させる必要があるんだ、右にぐるっと回って…もう一周だ!写真を撮るぞ、よし…!次にこっちを向いて…次に逆だ!…横の棒を両手で掴んで…違う!下から包むように掴むんだ!よーし、では逆さまに回転するぞ、苦しいが我慢を…!グッド!もうげっぷしていいぞ…!次に腹をこいつで押す、腹筋の力を抜いて…」

あぁ確かにこれは妻が言ってた通りだな。自分でぐるぐる回ったし、機械もぐるぐる回ってた。一言でいうならば別室にいる人間に指示をされて、何もわからずぐるぐる回ったり、あるいは回されていることを見られて、写真を撮られたりしている。

これはかなり無防備な状態で振り返ると恥ずかしい。

ただ、終わってみると意外とあっという間だった。最初に泡の出る薬を飲み始めてから、10分以内で終わったと思う。

バリウムは恐らくテクノロジーの進化で、そこまでまずくはない。やはり泡が出る薬を飲み干してげっぷを我慢しなければいけないことが、きついと言われる所以だと思う。

検査後

バリウムは適切に排泄しないと大変なことになるので、帰り際に下剤と注意書きを渡される。

今後バリウム検査を受ける人の参考になるかと思い、ここに全文を転記しておこうと思う。

バリウム検査を受けられたお客様へ

本日はお疲れさまでした。

下剤をお持ち帰りいただきます。服用前に必ずお読みください。

服用方法

  1. お渡しした下剤は、検査のために服用した硫酸バリウム造影剤を速やかに排泄するためのお薬です。
  2. ご帰宅時、若しくはご帰宅後、2錠をできるだけ早い時期に、できるだけ多めの水で服用してください。

服用後の注意事項

  1. 今日一日はできるだけ多くの水分を取ってください。
  2. 食事は通常どおりとってください。
  3. 便意を感じなくても、定期的にトイレに行くように心がけてください。
  4. 下剤服用後、嘔吐、嘔気、腹痛、腹部膨満感などの症状が出現した場合は、医師にご相談ください。
  5. 下剤服用後、検査の翌日になってもバリウム便が排泄されない場合、また下剤の効果が不十分な場合、その他腹痛などがある場合には必ず医師にご相談ください。

※バリウムが長時間腸内に残っていると、水分が吸収されて固くなり排泄しにくくなります。バリウム便が排泄されないまま放置した場合は、消化管に孔が開いたり、消化管が詰まったりする恐れがあります。

ご不明な点、ご心配な点がございましたらお尋ねください。

とにかく水を飲みまくって、バリウムを出し切れということだろうか。

自分は割と快便なタイプなので、下剤というものを使ったことがなかったが、今回はさすがに使ってみた。

薬の力というのはすごくて、すぐによく下痢と言われるような状態になった。というか、バリウムを飲んだ直後くらいからお腹が壊れ気味でそれに拍車がかかったという感じだった。トイレに行き、水を飲む、ということをひたすら繰り返す。そんなことを5ー6時間ほど続けていたらやっとお腹が落ち着いてくる。

文章で書くと2-3行ではあるが、けっこうつらい時間だった。バリウム検査自体もきついけど、その後もきつい。

でも、これでだいたい検査の手順はわかった、来年、バリウム担当の医者に会った時は俺はもうちょっと堂々としていることが、たぶんできるだろう。今回はされるがままだった。次回は指示を待たずに能動的に検査を受けることができる。「あーはいはい、この薬飲むと泡が出て、で、げっぷを我慢するのがつらい、知ってます知ってますとも…で、ここでぐるぐる回りますからね、まずは右…けっこう時間余ったんでもうちょっと撮ってきますか…」

まぁけど下剤だけは何回やっても慣れないだろうな、という気もしている。俺はもともと快便というかお腹がゆるいいタイプだから。